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共依存?ちがうし
「ごめんなさい、嫌です」
そう言うと、意外にも一暁くんはおとなしく引き下がった。
「じゃあ、俺、帰るね」
なんかめっちゃきまずい…。えーどうしよ。明日からの授業やばいじゃん……。一暁くんに帰ってもらうため、ドアまで送っていった。そっと開けると、そばで待機していたのであろう如月先生が駆け込んできた。一暁くんはとっても不満そうにこちらを見ていた。申し訳ないしきまずいしほんとにどうしよう。だけど俺、慈以外の人と一緒にいたくない…。
それに、あ、もしかして、一暁くんはそのために俺に近づいたの?
俺は慈が中に入ってきてから何にも言わなかった。
「慈…」
小さな声で俺が呼ぶと慈はそっと立ち上がって抱きしめてくれた。
「ごめんね、怖かったよね。俺、もう千紘奪われそうになるとか耐えらんないから…前言撤回するね。千紘、クラスメイトと仲良くしなくていいよ、むしろしないで」
「うん……」
やっと友達らしい人ができたと思って嬉しかったんだけどな。
「柳瀬一暁…そっか、俺が感じた違和感はこれか、そっか、あー止めるべきだったな…」
独り言を言う慈を静かに見つめていると、俺に気付き、ふわっと笑った。
「千紘」
「ん」
「千紘は、千紘だけは、俺のものだって言っていいか?」
なんでそんなこと聞くの。
「いいよ、慈…」
「どした」
「慈は離れていかないよね」
「もちろん」
俺は、もう慈しか信用できないかもしれない。
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