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俺はすぐに言っちゃいけなかったって気付いたけど、もう口に出した言葉は消しゴムマジックできないから。その場に慈と、自分の吐いた言葉だけを残して走り出した。言っちゃいけないってわかってたはずなのに。なんで。
俺は…悪いと思う。だけど、慈も悪いと思う! 俺はクソガキだけど、わざわざ言わなくていいじゃん!
「慈、ごめん…」
知らないうちに倉庫から遠い廊下に来ていた。その場にはいない慈に対して無意識に謝った。
翌日は物理の授業があったけど、初めて指名されなかったし、目も合わせてこなかった。そんな、あからさまに避けなくても…。悪かったのは認めるからさ……。
放課後。俺は慈に謝ろうと思い、物理室へ向かった。
「如月先生、いる?」
ぱっと振り向いた慈は一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに顔をしかめた。来て欲しくないみたいな、会いたくないみたいな雰囲気があった。なんで。おかしいじゃんそんな急に。昨日、なんて言ってた?上から言われてとか言ってた気がするんだけど、どういうこと? 校長先生とかってことか?
「先生…」
「桐谷……ごめんな。俺あの時テンパってて、いらないこと言ったよな」
「なんでテンパってたの」
「それは……今は言えない。ごめん」
「…なんでだよ……でも、俺もクソガキとか言ってごめんなさい…」
「いや…元はと言えば俺が悪い」
「あの、さ…今日、やってくれる…?」
「えっ…いや…うん…」
まだ何かダメなことがあるの…?
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