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「千紘…」
「なんでそんな躊躇するの? 今までそんなことなかったじゃん…」
「……なんで、言っちゃいけないんだ、なんでだ、組長………」
「組長?」
「……………千紘。あのさ、輝泉組って知ってるか」
「輝泉って…あれ、ヤクザでしょ。」
「そう。それで、その輝泉組の偉い人が……千紘を使って計画を立てていてですね 」
「どんな、計画…? なんで俺…」
「いやっそれが、計画立ててんの俺じゃないんで…わかんないんですけれども…」
「そこでなんで慈が関係あるの」
「えっ、えーと、俺が、1番…千紘に近いから…かな? 」
嘘つくなよ。自分が計画立ててるくせに。計画の内容は知らないけど、俺、慈に関してはだいぶ調査したんだから。知ってんだよ。慈が輝泉組の偉い人ってことくらい。
慈。俺、慈が計画立ててる理由知ってるよ。恥ずいから言いたくないんでしょ。そりゃそーだよね、一緒にいたいからそういう計画立ててるとか死んでも言いたくないよね。輝泉組の偉い人がこんな学校で先生やってるとか、こんなに簡単に生徒にバレてるとか、いいの? 機密情報とかいろいろあるんじゃないの? 大丈夫かな。まあ、慈が偉い人になれるくらいだし。そんなでもないか…って、失礼か。
「そのよくわかんない計画のために、俺は我慢しなきゃいけないの?」
純新無垢な、でも不満げな顔で言ってみる。
「……ごめん、やろう。俺が我慢できん」
「めぐみ」
鍵を閉める慈を見ながらふっ、と笑った。計画通り。
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