補習だって

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言った超本人は、口に出したその瞬間に記憶から抹消したらしく、俺が何に対して怒っているのか全く分からないようだった。 「男と女がイチャイチャしてるのは良くて、男同士だと見苦しい? なんだその矛盾」 俺は無意識にも人を傷つける可能性のある言葉を吐く奴が嫌いだ。傷つく相手が自分と気が合わない人だったとしても、してはいけないことだ。 やっと自分のセリフを思い出したらしい。 「いや、そういうことじゃ………」 「じゃあどういうことなんだよ! 説明してみろよ!」 後ろで如月がおろおろして見ているから余計にカッコつけたくて、 「そんな男だとか女だとか区別してる奴の方が見苦しいぞ!」 と叫んだ。 「もう終わり、ちひ…ん''ん''、桐谷、ほら、実験やって」 「如月…」 やっと放課後。俺は帰る支度もしないで「補習」を受けに物理室へ向かった。 「慈…」 ゆっくり振り向いた慈の目は既に獲物を狙う獣のものだった。 「…へえ、もう来たんだ。そんなにやってほしかったの? 補習」 「……うる、しゃ…」 噛んだ。最悪。 「図星か? 分かりやすい奴」 「だまれ…!」 「へえ、そんな口聞いていいんだっけ? まぁそんな戯言どうでもいい、さあ本題に入ろうか。昨日言ったよね、クラスメイトと仲良くしろって」 「う……」 「忘れたとは言わせないよ、千紘」 「仲良く、した…」 「嘘つかない。お仕置きの回数が増えるだけだよ」
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