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ドのつくMではありません
「千紘、綺麗だなお前」
「んっ、なに」
俺の後ろにまわっていた慈の手がゆっくりと離れていき、太腿を撫でる。今までに何度も慈にやられて敏感になっているので、そっと触られただけでビクッとしてしまった。
「ほんとに綺麗」
「綺麗だな」
慈は綺麗綺麗と繰り返し、俺を撫でるだけだ。何もしてくれない。待ち切れなくて、体を動かす。チャラ…と金属音が聞こえた。今まで全く気づいていなかったが俺の両手首、両足首には鎖がついていた。
「やっと気づいた? もう逃げらんないよ」
お仕置きだからね、そう言い残して歩いていき、授業では絶対に開けない場所、生徒たちの席から全く見えない棚を開けた。
ああ、始まる。
「あ、千紘、忘れ物。ごめんごめん」
棚から色々な物を取り出していた慈がさっと戻ってきた。
俺の視界は奪われ、真っ暗になった。もう何が起こってるのか分からない。ただ聞こえるのは、慈がたくさんの器具を取り出している音。
はやく…はやく………。
俺がその気になっていることは多分慈は分かってる。それでいてわざとやらないのだ。
「……めぐみのいじわる」
「何?」
「なんで…やってくんない…」
「そんなの、お仕置きだからだよ」
知ってる。そんなこと知ってるけど、どうしたらやってくれるかなって…思った…。
「どうする? 有りにする? 無しにする?」
「ばい…ぶ? ……ありがいい…」
働いていない頭でそのまま答えたら、慈はふっ、と鼻で笑って言った。
「ドM」
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