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「ばんざいして」
声の通りにす
ると、慈は自分がしていたネクタイ
を解いて俺の手首に巻
き付けた。
軽めにしてくれるかなとちょっと期待していたけれど全くそんなことはなく、いつも通り固く縛られた。
あれ、なんだか教室の雰囲気が違う気が…。何が違うんだ? まあいいや。慈はそっと俺を持ち上げて教卓の上に寝かせた。もう何もできない。
……っていうか、さっきやらなかった?
それで今終わったとこじゃ…え? 嘘だろ、またやんのか? 危機感を感じてはいるが起きられない。知らないうちにまた睡眠薬を飲まされたのかもしれない。慈、そういうの上手いからなあ…。でもこの状態でまたされたら俺やばいと思う、
起きなきゃ。
起きなきゃ…
「あれ、千紘。もう起きちゃったの? せっかく薬あげたのに」
やっぱり…。薬飲まされてた。さっきのはもしかして全部夢だったの? どこから…? 俺がHR教室から来た時とかも全部夢だったとか…
「眠いけど、それより…さっき終わったばっかりじゃん……むりだ…って………」
薬も入っていたのに急に起きたからその反動だ。急激に眠くなって、また寝てしまった。
「…ふ」
慈はそんな俺の様子を見て鼻で笑った。
「さっき終わったばっかりだからってできないことはないよ、千紘」
今日だけで何回やった? 数え切れないな。流石にもうやらないよね…。
「千紘。最終下校時刻過ぎてる」
「……え?」
俺、そんなに? 今日はちゃんとした時間に帰ろうと思ったのに…
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