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「ちょっとね、話したいことがある。」
せっかく「慈」じゃなくて「如月先生」って言ったのに、向こうが馴れ馴れしくしてくるから今誰か来たらおかしなことになっちゃう。
「桐谷?」
あれ、思ったより声が普通だ。ノーマル感あるな…。もしかして本当に話したいことあってきたのかな。
「先生…入ります?」
「ありがとう、お邪魔します」
なんか普通だ! じゃあほんとになんか話したいことあるんだ! まじか、俺なんかやらかしたかな。
部屋のドアの鍵を閉め、椅子どうぞ、とすすめる。一応部屋には2つ椅子があるからちょうどいいと思い、俺も椅子に座った。その間、慈は持ってきた鞄から何かを探しているようだった。
「せんせ? 話って、何すか」
そう言いかけると急に慈は椅子から立ち上がり、俺の方に向かってきた。
「桐谷、うるさい」
「え」
急に降ってきた罵倒に俺はただ驚き、自分の背後で慈が何をしているのか知らなかった。
「先生、なにして…えっ」
俺は知らないうちに椅子に縛り付けられ、身動きが取れないようになっていた。
…いらない。ただ話すだけならこんな装備いらないよな。絶対さっきの嘘だった…うわ、なんで騙されたんだ俺。こういうことだから慈にいいように遊ばれるんだ。
「やめ、て……」
「よし、これで話をしよう」
慈はそう言うと、椅子に座った。
「慈、なんで…」
話をしよう…って、どっちなん。ほんとに話があるの? でもこんな格好だし話はないの?
「桐谷」
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