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「なんで、ついてくるんですか?」
なぜか尊臣も華の横を歩いてついてくる。
「桜庭先生は来てくれないの? 俺の歓迎会」
「行きません。私が行っても場違いだし」
「じゃあ俺もいかない」
尊臣は両腕を組んだ。
「俺もって、主役が行かなきゃ意味ないじゃない」
組んでいた腕をすっと下ろし、尊臣は華の腕をそっと握った。
「華がいないなら行く意味がない」
真剣な、落ち着いた声。それでも華にはつかまれた腕のほうが気になって、尊臣と分かっていてもこれ以触れられていたら震えだしそうだ。
「……離してください」
「じゃあ行く?」
「行きません」
「じゃあ、俺も行かない」
「だから、主役が行かなきゃ意味ないでしょう?」
何を子供みたいなことを言っているんだと呆れた顔で華は尊臣を見る。
「だから、華も来てくれるよね?」
じぃーっと見つめられ華は思わずパッと視線を逸らした。男性にずっと見つめられるのは苦手だ。それがたとえ患者さんでも、今だに克服出来ないでいる。ずっと会いたいと思っていた唯一の友達でさえ見つめる事が出来ない。
「華」
「……わかったわよ。行くから名前で呼ばないでください」
「嬉しいな」
ニコニコと全面に嬉しいを表現できるのはフランクなアメリカからやって来たからに違いない。やっと開放された腕には尊臣の熱が残っている。残っているのに、華の手が震えだすことはなかった。
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