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「あれ? ちょっと待てよ……」
コンガ先生は何かを思い出したようで、いつも使っている教科書を開いたまま動きを止めた。
「君たち手裏剣の練習は? 先生、レジやってるからその間練習しとけって言ったよね?」
コンビニの店長とて忙しい。コンガ先生は効率よく忍術を教えるために咲耶たちに課題を課していた。
「先生、前も言ったんすけど、手裏剣持つと怪我するのでできません」
勢いよく上がったネムの両手は、見事なまでに絆創膏だらけだった。
「私も! 手裏剣なんて物騒なものは持ちたくありません!」
シャオランも負けじと両手を上げる。
「私はひとりでやる気出なかったのでやりませんでしたー」
咲耶も元気よく付け加えた。
言うまでもなく、コンガ先生は項垂れていた。
「えっと……うん。まず手裏剣ってね、忍者の基本のキなの。だから練習して使いこなしてもらわないと、先生泣く」
それを聞いて咲耶たちは笑った。
「じゃあ泣くしかないじゃん」
「先生かわいそー」
「うけるー」
「うん、黙って」
コンガ先生は分かりやすく頭を抱えたが、すぐに開き直った。
「よしっ、分かった! 1ヶ月後に手裏剣の実技テストやっから。それまでになんとか練習すること」
「えー! ひどいー!」
「先生の鬼!」
「ゴリラ!」
「しょうがないじゃん。先生だってこんなことしたくなかったんだけど、こうでもしないと君たち真剣に練習しないじゃん? だからさ、ほらほら。分かったら今から特訓! なんか分からないことあったら先生に聞いていいから」
「店長ー!」
「はいはいー!」
店員に呼ばれると、コンガ先生は風のごとく咲耶たちのもとを去っていってしまった。
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