7人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
数週間後。
「じゃあ今日もやるか!」
咲耶の掛け声に合わせて、ネムとシャオランは定位置につく。
「はあ……全然上手くならない……私って才能ないのかな……」
シャオランが弱音を吐くと、すかさずネムが彼女の肩を叩いた。
「大丈夫っす! 初日よりは全然上達してるっす!」
咲耶も続けた。
「そうそう、まだ始めたばっかりだし、これからちょっとずつ練習していけば必ず上手くなるよ!」
ふたりに励まされ、シャオランの顔に少しだけ笑顔が戻る。
「なんかふたりに言われると、できる気がしてきた! うん! 私がんばるっ!」
三人は互いに見つめ合った。
咲耶がマイクを握り、ネムがギターを構える。シャオランはスティックを持ってドラムと向かい合っている。
「それじゃあ行ってみよー!」
咲耶の拳が上がり、シャオランのドラムがリズムを刻み始める。そして、それに寄り添うようにネムのギターがメロディーを奏でる。不器用だけどそれでもいい。彼女たちは彼女たちにしかできない『音楽』を……『音』を『楽』しんでいる。そう、彼女たちは今ここにしかない青春を
「何やっとんじゃこらぁー!!」
そのとき、コンガ先生が扉をぶち破ってきて、ナレーションを遮った。
「勝手にアオハル始めないで!」
コンガ先生の叫びがコンビニのスタッフ控え室に響き渡る。
「ていうか、待って。手裏剣のテストあるから練習しなきゃの回で合ってるよね? それとも先生が何話分か飛ばしてきた?」
三人は顔を見合わせる。
「「「手裏剣の回です……」」」
コンガ先生は頭を掻いた。
「いま君たち何してんの?」
三人はまた顔を見合わせ、もじもじとし始めた。
「「「バンド……」」」
「なんでだよ」
三人は黙り込んでしまった。このまま膠着状態に陥ると思われたが、コンガ先生が早々に手を叩く。
「まず目の前の読者さんに謝ろう! たぶん何人か前のページ確認しに行ってくれたはずだから。ね! 謝ろう!」
三人は顔を見合わせた後、お辞儀をした。
「「「ごめんなさい……」」」
「はいっ、よくできました。じゃあ、次ね。なんでこうなったか誰か説明してくれる?」
「それは私が」
手を挙げたのは咲耶だった。
最初のコメントを投稿しよう!