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「よしっ、じゃあ改めて! 練習再開していこー!」
岩爺が帰ってからしばらくして、咲耶たちはバンド練習に取り掛かろうとした。
「あのさ、ちょっといいかな?」
そのとき、コンガ先生がゆっくりと手を挙げる。
「俺の聞き間違いじゃなければ、さっき『本番』がどうのこうのって言ってた気がするんだが……」
「先生さすがですっ!」
咲耶はエヘンと胸を張った。
「本番は1週間後、ここスタッフ控え室にて行います!」
「……え、聞いてないけど」
焦るコンビニ店長もといコンガ先生。
「大丈夫! 控え室狭くてお客さんそんな入れないと思うので、当日はライブ配信も行います!」
「悪かったな狭い控え室で……って、違う違う! そもそもそんな許可出せるわけないだろ? ここはただのコンビニの控え室なんだからっ!」
コンビニ店長(コンガ先生)は腕を組みながら咲耶たちを睨みつけた。
「許可なら貰ってるっす!」
そのとき、ネムが声を上げる。ネムの右手には「許可証」と書かれた紙切れが一枚。
「ほら、ここ! 安田さんって人からちゃんとサイン貰ってるんすよ!」
コンガ先生は問題の許可証を覗き込んだ。スタッフ控え室でのライブ開催に関する許可証……そこにはたしかに「安田」のサインと捺印がある。
「安田って、眼鏡かけたノッポの?」
「はい!」
コンガ先生は神妙な面持ちのまま顎を撫でた。
「それ、先週入ったバイトくんだね」
咲耶たちは顔を見合わせた。シャオランは首を傾げながら、コンガ先生を見つめる。
「え、ダメなんですか?」
「ダメだよ」
コンビニ店長、激おこである。
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