咲耶です。バンドはじめました

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* * * 「よしっ、じゃあ改めて! 練習再開していこー!」  岩爺が帰ってからしばらくして、咲耶たちはバンド練習に取り掛かろうとした。 「あのさ、ちょっといいかな?」  そのとき、コンガ先生がゆっくりと手を挙げる。 「俺の聞き間違いじゃなければ、さっき『本番』がどうのこうのって言ってた気がするんだが……」 「先生さすがですっ!」  咲耶はエヘンと胸を張った。 「本番は1週間後、ここスタッフ控え室にて行います!」 「……え、聞いてないけど」  焦るコンビニ店長もといコンガ先生。 「大丈夫! 控え室狭くてお客さんそんな入れないと思うので、当日はライブ配信も行います!」 「悪かったな狭い控え室で……って、違う違う! そもそもそんな許可出せるわけないだろ? ここはただのコンビニの控え室なんだからっ!」  コンビニ店長(コンガ先生)は腕を組みながら咲耶たちを睨みつけた。 「許可なら貰ってるっす!」  そのとき、ネムが声を上げる。ネムの右手には「許可証」と書かれた紙切れが一枚。 「ほら、ここ! 安田さんって人からちゃんとサイン貰ってるんすよ!」  コンガ先生は問題の許可証を覗き込んだ。スタッフ控え室でのライブ開催に関する許可証……そこにはたしかに「安田」のサインと捺印がある。 「安田って、眼鏡かけたノッポの?」 「はい!」  コンガ先生は神妙な面持ちのまま顎を撫でた。 「それ、先週入ったバイトくんだね」  咲耶たちは顔を見合わせた。シャオランは首を傾げながら、コンガ先生を見つめる。 「え、ダメなんですか?」 「ダメだよ」  コンビニ店長、激おこである。
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