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エピローグ
瀬戸優斗が手を振りながら満面の笑みで私を見送っているのが、全面スクリーンに投射されている。次元航行船は次元の狭間を開いてそこに滑り込むので、少しの振動と光を放つだけで後は一瞬にして跡形もなく消えるだけだ、しかし10年共に歩んだカラダが名残惜しそうにしているのだから、少しのサービスをしてもいいだろう。
私は次元航行船をその場で消さず上昇をさせた。これで暫くはお互いに視認し合って満足した別れが出来る、こういった感情の機微が理解できるほど私は成長していた。
「では本当にさよならだ。倉科智菜を大事にするんだぞ、彼女は良い子だ。瀬戸優斗、キミも良い青年だ。曲がることなくこの時代を生き抜いてくれ」
2888年、地球はその寿命を終えるが、人類は途絶えることなくその歴史を連綿と繋げ続ける。
ー了ー
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