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あまりにも突然の告白だった。
しかし、思ったほど、驚きが小さな自分もいた。そんな自分に戸惑ったほどだ。
悪い気がしないのも、きっと、このウエディングドレスのせいだ。きっと私は桜色の雰囲気にやられている。
しかし、何か違和感がある。
「結婚前提のわりに、指輪はないんだ?」
一瞬で、彼の顔がみるみる青くなっていく。今度は顔を覆うだけでなく、膝をついたまま、頭を抱えた。
「ごめん、緊張しまくって……」
要領がとても悪い。
普通の人の告白ならドレスまで整えないだろうに、そこは頑張って、おさえておかないといけないポイントを間違っている。
普段の私ならそれでイラだつはずだったのに、今日の私は不思議と、そんな彼が可愛いと思えた。
頭を抱える彼の手を、私はそっと手にとった。青ざめた彼の頭がゆるゆるあがる。
「しっかりして。大事な人に会わせてくれるんでしょ」
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