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通報してからは、早かった。
ハルが後悔するよりも早く、警察が家にやってきた。
「な、何ですか?」
当然、突然の刑事たちの来訪に母は驚き、戸惑い……。
父はあっさりと自白した。
「……ここまでたどり着いてしまいましたか。完全に隠していたはずなのに、何故でしょうか……。」
慌てるでもなく、刑事が車を入念に調べるのを、父は黙って、そして落ち着いてみていた。
凶器のナイフ、被害者を入れていただろう袋。
そして、これまでの被害者の写真と、これからターゲットにする予定だった少女の写真。
それら全てが、自分が用意し犯行に使ったものだと、父はあっさりと認めた。
「どうして……どうしてそんなことを……!」
自白を近くで聞いていた母は、茫然自失と言った様子で、呟くように父に訊ねた。
しかし、父はうっすら笑顔を浮かべたまま、こう答えた。
「君にもハルにも、きっと一生分からないよ、この気持ちはね。」
こうして、少女7人を殺害したおぞましい事件は、ハルのたった一言の通報によって、あっさりと解決を迎えた。
その後の取り調べの結果、父はその人柄の良さで少女たちに声をかけ、道案内を頼むという口実で少女たちを人込みから離し、一度クロロホルムで眠らせてから袋に入れて移動。
その際、用意しておいたホテルリネンのクリーニング業者の制服に着替えていたらしい。
少女の入った袋を担いでいても、その姿からクリーニングするリネン関係の袋だと周囲に思わせるためである。
故に、少女を眠らせる場所は、ホテルの地下駐車場の一角であることが多かったという。
「そんな場所に、みんな疑いもなくついていったのか?」
刑事のこの質問には、父はこう答えた。
「道案内を頼む場所は、少女を眠らせるためのホテルの地下駐車場。その道中でこう言うんです。私には君と同じくらいの娘がいる。久しぶりに娘に会うのだが、何を話していいかわからない。嫌われてるかもしれない。上手く話せる自信がない……と。」
ハルの父は、その穏やかそうな雰囲気で、被害者たちと同じ年頃の娘がいるということを話し、被害者たちの警戒心を無くそうとしていたのだ。
結果、被害者たちは皆、抵抗した形跡がない。
「苦しまないように、眠っている間に心臓を一突きして命を奪いました。性的な行為は一切ありません。子供に興味はありませんからね。」
ハルの父の言葉に嘘はなかった。
被害者たちには一切の服装の乱れ、ハルの父の衣服・皮膚・体液などの痕跡が一切存在しなかったのである。
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