大混乱

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大混乱

「何か揉めてるんじゃねぇの?レイモンド1人で大丈夫なのか?」 「大丈夫だ。」 「でも、結構人いたよな。トマスも行った方がよくない?」 「すぐにおさまる。」 ならいいけど。 ・・・・ 4人を奥の部屋に入ったのを確認してから、俺は門へ向かった。 「皆さん、何かご用でしょうか?」 腰に布を巻いてるだけ。格好からして、奴隷商人の元から逃げ出した男達だ。この島で一番使われている言語を話してるが、返事はないし通じていないのか? 相手が話をしてくれないなら、こちらから話しかけたって無駄だな。 俺が家に戻ろうとすると、一番背の高い男に引き留められた。 「待ってくれ!」 「先程もお伺いしましたが、何かご用ですか?」 「助けてくれっ!」 「どういう意味でしょうか?」 「俺達、捕まってどこかに連れていかれるんだ!船に乗せるっ…て。」 「船に…?どこへ連れていかれるかわかりますか?」 「わからない……」 船に乗せる。海を(また)いで奴隷を売るつもりなのか? この島で需要がなくなったら商人達は稼げなくなる。だから、他の所で売る。少し考えれば当然の流れだが、商人が扱う品は国に報告の義務がある。俺が来る時には、そんな話は陛下に通っていなかった。となると、許可はおりていない。勝手に行動し始めている。こんな時に、面倒な問題を…。 「申し訳ありませんが、助ける事は出来ません。」 そう返事をすると、7人いる男達は途端に騒ぎだした。 「お願いします!助けてください!!この家に匿ってください!」 「出来ません。」 「この人でなしっ!!」 「お前らもアイツらの仲間かっ!!」 「この門を開けろっ!」 怒る気持ちは解るが『さぁ、どうぞ』と招き入れられるほど、事は簡単じゃない。 奴隷商人がこの者達をどうやって手に入れたのかは解らないが、所有権は商人にある。ここで家に一歩でも入れてしまえば、『盗難だ』と言われかねない。 王国の法であれば、金貨5枚で腕を落とされる。この奴隷達には値がついていないが、相手の(さじ)加減でどうにでもなる。 金で解決するなら、セフィルの時のように高値を吹っ掛けられる。
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