30人が本棚に入れています
本棚に追加
「バスティ」
「はい」
「明後日、奴隷市があります。バスティも同行願いたいのですが、セフィルはどうしますか?」
奴隷市…
「出来れば連れて行きたくは無いです…。」
けど、セフィルをここに1人で残していくのは心配だ。もし、俺を追いかけて来たりしたら、またどこかで捕まる。
「ここにいる方が安全ではあるんですけどね。奴隷市を開く場など、治安が良い所ではないので。」
「セフィルに説明しておきます。コタローとは言葉も通じるし。」
「セフィルも落ち着いてきてるので、大丈夫だと思いますよ。」
「はい。」
「とりあえず、この邸に2人ほど女性を増やそうと思います。そうすればセフィルも安心するでしょう。」
「ありがとうございます。」
畑仕事が出来る男より、セフィルの事を考えてくれると思わなかった。
「コタローが『セフィルが怖がらないように、先に女を雇えば?』…と、言ってたんですよ。」
「コタローが?」
「その発言を本人は深く考えてませんし、もう忘れてると思いますが。」
深く考えてないのなら、逆に凄いと思う。
「……コタローって、本当にレイモンドの弟子なんですか?」
コタローに聞けないからって、レイモンドに聞くのは卑怯かもしれない。
「違いますよ。」
「じゃあ、何でここへ来てるんですか?」
「バスティが私の教える事を全て覚えた時に言います。まぁ、そのうち本人が答えてくれるとは思いますよ。」
「でも…」
「コタローはバスティを『友達』と、そうセフィルに紹介していた。あれが、無意識に口から出た、コタローの本心ですよ。」
「俺もそう思ってもいいんでしょうか?」
「バスティは自身が友達だと思ってる相手に『友達だと思ってない』と言われたら、悲しくないですか?」
「悲しいです。」
「コタローもそうです。だから、聞きたい事があるなら、今度から本人に聞きなさい。私とトマスには何も教えてくれませんが、バスティには少しずつ教えると思いますよ。」
「はい、そうします。」
最初のコメントを投稿しよう!