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寝る前に、俺は蚊取り線香について調べる事にした。
「蚊取り線香の取説」
……何も出てこない。マジで役に立たない。そもそも、欲望の神からの謝罪とギフトが、俺の欲望を満たさないなんて詐欺だろ。
蚊取り線香って何で作ってるんだろ…。
別に同じものを作らなくても、ここにある植物とかで同じ効能があるものを見付ければいいんだよな。
ここは地球じゃないんだから、見た事のない植物だって動物だって沢山いてもおかしくない。
密林に入って片っ端から取説で調べていけば、俺は植物博士になれるかもしれない。別になりたくないけど。
とりあえず、明日は庭の草抜きだな。正面はいいけど、家の裏側は草ぼうぼうだし。
蚊帳も同時進行で調べよう。ランプに蛾とカナブンみたいなのがめっちゃついててキモすぎる。
次の日
トマスと2人で寂しく草刈りかと思ったら、バスティとセフィルも一緒だった。
「勉強はいいのか?」
「うん、今日から1週間は勉強じゃなく蚊の対策をしろって、レイモンドが。」
「そっか。」
やっぱり、皆も蚊は気になってたんだな。
「セフィル」
「なに?」
「セフィルは子供だから、スコップ進呈。あとこれやるよ。」
俺は麦わら帽子をセフィルに被せた。
「そのうちレイモンドが新しいの買ってくれると思うけど、今はこれしかないから。」
「ありがとう…」
あまりにも日焼けに弱いから、俺だけ麦わら帽子を愛用している。
けど、これから人を雇うなら、皆の分の帽子も用意しておいた方がいい気がする。この島は暑くて湿気が多いし、熱中症対策も必要だな!
考えながら、ブチブチと草を抜いてると、バスティが何故か小さな声で話しかけてきた。
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