蚊取り線香

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「明日、レイモンドと俺だけ出かけるんだ。人を雇う為に……」 人を雇う……奴隷市に行くのか。 「セフィルは?」 「コタローに見ててほしい。」 「俺はいいけど、セフィルはバスティがいなくても平気なのか?」 「納得はしてくれた。」 奴隷市なんてトラウマだろうし、セフィルを連れていきたくないよな。 「なぁ、セフィル。明日は俺とトマスと3人だけど、何かやりたい事ある?」 「…お菓子作りたい」 おかし? レイモンドなら作れるだろうけど、トマスも作れんのかな?肉焼いてる所しか見た事ねぇけど。まぁ、何か作れるだろう。 「解った。明日はお菓子作りだな。」 「うん!」 「セフィルはお菓子は何が好きなんだ?」 「マーマレードジャム」 ジャムってお菓子なのか?よくわからんけど、セフィルが作りたいならそれにしよう。 この辺って、オレンジとかあるのかな。たしか、柑橘系の果物が原料だったはず…。ジャムの瓶にオレンジの絵が描いてあったし。 「家に材料があるかどうかレイモンドに聞いとくから、とりあえず草むしりするぞ。」 「うん」 午前中の草むしりを終えて昼飯…って時に、なぜか家の前に人が集まってきた。 家と庭を囲う柵があるから、正確には外にある門の前だけど。 「なんだ、あの集団。トマスかレイモンドの知り合い?」 この島に(ジーク)の知り合いはいないし、どっちかの知り合いだよな。 「トマス…子供達と奥の部屋にいてください。私が対応します。」 「解った。ほら、行くぞ、3人とも。」 「え?飯は?」 「待機」 「何で?客が来たからって、違う部屋に行く必要なくね?」 「いいから行くぞ。」 結局、誰なのか答えてくれる事なく、俺達は部屋に連れていかれた。 あれ?バスティの顔が青い気がする。 「気分が悪いのか?」 「いや、ちょっと疲れただけ。」 「無理すんなよ。しんどかったら、昼から休んでてもいいからな。」 「うん」 奥の部屋に移動して5分くらいたった時、急に外が騒がしくなった。
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