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「何を言っても無駄です。私達にも生活がありますので。」
「お前達が来なければ、こんな事にならなかったのに!」
「そうだ!お前らのせいだ!!」
「そうだ!!」
ついに門を無理に開けようとしたり、乗り越えようとし始めた。
こんな事になるだろうと銃を持ってはいるが、脅すと余計に暴れるだろうし、面倒だな。
こちらから奴隷商を見つけ出して買い取る手もあるが、同じ部族の者ばかり集めるのは危険だ。出来れば避けたい。
それに、ジーク様がここにいる事を知ってる者がいて、殺すよう命令されてる可能性もある。
「ここへ来る道すがら、雑草が刈られた土地があったでしょう?そこから北へ1kmほどの所に痩せた老爺が住んでいるようです。会いに行ってみてはいかがですか?」
それだけ言って、俺は家に戻った。
この者達が奴隷商から逃げたいだけなら、この家に固執しない。老爺の所で住めばいい。
調べたところ、爺さんの住んでる土地も俺達の土地だ。だから、未だに奴隷として連れていかれる事がない。
もし奴隷達が見つかったとしても、住む許可はだしていないと言えば問題ない。
客が帰ったのを窓から確認して、俺は4人を呼びに部屋へ向かった。
食事中、バスティが何か言いたそうだったのは気がついていたが、あえて声はかけなかった。
おそらく、あの中に知り合いでもいたんだろう。
バスティには酷だが、俺もトマスも目的があって来ている。奴隷を買うとしても、ある程度選別しなくてはいけない。
その場しのぎの偽善者になるつもりはない。
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