海賊

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海賊

とりあえず、海賊船の速さはわかった。 1ウニで20マリモだ。 …単位はよくわからないが、この船の方が速いのはわかった。 結構差がある。今ならまだ逃げれるはずだ! 「トマス!レイモンド!」 「ジーク様?」 「部屋にいてください。」 いても邪魔だと言いたいんだろうけど、俺も死にたくないので言わせて貰う。 「こっちの貨物船は1ウニで30マリモ、アーヴィン海賊船は1ウニで20マリモ。今なら逃げきれるんじゃないか?」 「ジーク様、どこでその情報を?」 レイモンドがキョトンとしている。いつも、胡散臭い笑顔なのに。いや、今はそれどころじゃない。 「ちょっと、小耳に挟んだんだ。で、どうなんだ?」 「ジーク様の仰るように、速さではこちらが上なのですが、こちらは大量の荷物を乗せておりますので。」 そりゃそうだ。貨物船だしな。 俺はお荷物扱いだし…… 「やっぱり、今から逃げる切るのは無理なのか…」 「厳しいですね。」 仕方がない、最後の手段だ。 『海の藻屑コース』を選ぼう。 「海賊船を沈めるぞ。」 「此方が先に沈む可能性があります。」 「何でっ!?」 「相手もそれなりに船を沈める武器は持ってるはずなので。」 取説にはこっちが優勢っぽいと書いてあったし、大丈夫な気もするけど。 「ジーク様を危険に晒す事は出来ません。確実な方法を取ります。」 そんなものがあるのか?海兵でも敵わない非道な海賊なのに。 いや、待てよ。 トマスって1人で10人くらい軽く倒せるって取説に書いてあったな。 「レイモンド、あんたの選択は『船上戦』なのか?」 「はい。」 「トマス、海賊は17人だ。倒せる自信は?」 「あります。」 取説に『戦いコース』はなかったけど、船に誰が乗っているのか解らないから書いてないだけだったのか。結局、取説なんてそんなもんだ。応用するのに役に立たない。 「レイモンド、トマス、あとは頼んだ。俺は足手まといになるから部屋に戻る。」 男子高校生に、船上で白兵戦なんて無理だから仕方ない。 俺は人望もない薄っぺらい王子だから、逃げてもいいはずだ。 ・・・・ 「レイ、船の速度とアーヴィン海賊団が17人だとジーク様に教えたか?」 「あの海賊団が何人なのか、俺でも知り得ない。」 「じゃあ、何で知ってるんだ?」 「さぁ……」
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