箱庭江戸時代

　成人の儀式まであと3日に控えた朝、団子屋の仕事は休みだ。吾輩、仕事がないとどうしていいか分からない。

仕方ないのでブラブラと散歩していると、いつの間にかうどん屋さんが遠巻きに見える所まで来ていた。

あのうどん屋さんの向こうにある橋の先には何かあるのだろうか、いちいち人の動きなんて気にするたちじゃないからはっきり言えんが、キセルを吸いに行った者が帰って来た所を見た事がない気がする。

すると、キセルを吸う口実に本土まで出かけているのか？

村の生活に不満なんてなかったが、本土は村とは違って何か楽しい事でもあるのか？

そうして遠巻きにうどん屋さんを見ては、ボーっと立ち尽くしていると、うどん屋さんから見覚えのあるフラフラ歩きの中年男性が出てきた。

あのフラフラの酔っ払いみたいな歩き方は……ゲンさんだ。