4.再び寮にて

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4.再び寮にて

寮に戻ると寮長に声を掛けらた。 「田倉さん、ご実家からみかんが届いてるわよ。部屋の前に置いてあるから。」 2人は部屋に戻りみかん箱を部屋の中に入れた。エリが箱を開けてみかんを取りだす。 「エリのママは和歌山県にいるんだよね。」と麻美が言った。 「そうなの。母の両親の田倉果樹園を手伝っているわ。」 「パパも果樹園を手伝っているの?」 エリはふと俯きながら、 「父は小さな会社を経営してたんだけど、借金を背負い母と別れたので、私は父の顔を知らないのよ。」と話した。 「エリ、ごめんね。」と麻美は頭を下げた。 「いいのよ。麻美は奈良県だったわね。」 「うん、奈良で小さなレストランをしているの。ママが作った野菜を使っているわ。パパとママは幼なじみなんだよ。」 「あら、素敵なご両親ね。」 「エリったらぁ!。そういえば、美久のパパって、カッコ良かったね。」 「そうね。電話もせずいきなり伺ったのに、私達の話をイタズラとも疑わずに聞いて貰えたのも良かったわ。」と頷きながらエリが言った。 「うん、安心したね。あとは、寮にバレないように!だね。」と麻美。 「明日の昼まで待つしか出来ないのかしら。美久はひとりで不安でしょうね。」 2人はみかんを前に黙り込んでしまった。
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