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5.指定当日
翌朝エリと麻美は電車で大阪に向かっていた。
「昨日美久のお父様にお会いしたけど、麻美は美久のご家族のこと何か知っているの?」
「美久のママは、美久が生まれてからずっと体調が悪く実家に戻ったまま亡くなったと聞いてるわ。美久が最初で最後の子なので兄弟は居ないわよ。だから、あの広い家にパパとニ人暮らしだったの。」
「そうだったの...知らなかったわ。美久は明るくて可愛い人だけど、苦労をしていたのね。」と言いながら、私は祖父母も居てくれるから幸せねと、エリはそっと自分に言い聞かせた。
電車を乗り換えて、美久の地元に着いたのは10時半を少し過ぎていた。地下鉄からあがるともう秋なのにまだまだ日差しは厳しい。
「美久...大丈夫よねぇ」と半ベソの麻美。
「もちろん大丈夫。さあ急ぎましょう!」
エリは麻美の背中にそっと手を添えて歩き出した。
谷崎家に到着しチャイムを押す。谷崎氏が玄関を開けてくれた。
「遅くなりました。」とニ人がお辞儀をした。
「ニ人ともありがとう。さぁ、応接室へいらっしゃい。」
応接室には作業着を着た男がニ人立っていた。今日は応接室のテーブル中央に電話が置かれてあり、逆探知であろう機械類と繋がっていた。エリ達にも緊張感が走る。そこへ作業着姿の男の一人が近づいて来た。
「谷崎美久さんのご学友ですな。私は大阪府警の及川です。昨日寮で電話を受けられた多田麻美さんは?」とニ人を見比べるように聞いた。
「多田麻美は私ですけど。」と麻美。
「谷崎さんから話を伺っていますが、電話を受けた貴女から詳しく話して貰えますかな?」
及川警部は不安そうにエリの方を見ていつもより小さくみえる麻美を隣室に連れて行ってしまった。
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