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4.目に痛い紺色
翌朝スッキリ目覚めた私は迷いなく、いつも通りの服装で登校した。
母は「またそんな格好で」とでも言いたげだったけど、少なくとも高校には通えてるから。
“色を抑えれば、波風立てず過ごせる“
ーーそんな私の信念は、学校に着くや否や覆された。
とてつもなく目に痛い紺色を見つけてしまったのだ。
色とりどりの生徒たちの中で、真凛は一際目立っていた。
まさか、本当にセーラー服で来るなんて……!!!
私の心の叫びに反応するかのように、彼女は振り向いた。
目が合った瞬間、体がこわばるのを感じた。
お願いだから、話しかけないで!!!
またもや私の思いが届いたのか、彼女は涼しい顔で教室に向かう。
と、後ろから追ってきた陽キャグループにツッコまれた。
「ちょっと真凛w セーラーとかヤバくないwww?」
「いや〜、ちょっと中学に忘れ物しちゃって! 取りに戻ろうかなってwww」
冗談とも本気ともつかぬ口調で、ケラケラと笑う彼女。
彼女は本気で、中学時代をやり直せると思っているのだろうか?
セーラー服のあの子が謝って、セーラー服の私が許したら、過去は清算されるって?
どう考えたって無理でしょう。
そもそも私は誰とも仲良くなるつもりないんだから、そちらのお友達と仲良くやっててよね。
ほんと、放っておいてほしい……。
◇ ◇ ◇
次の日も、その翌日も、彼女はセーラー服を着続けた。
「まだ見つかんないのぉ?忘れ物」「そろそろ滑ってるよ?」と呆れ顔の友人たち。
「エンコ目的じゃね?」「パパ活ってやつ?」と噂する男子達。
明らかに周囲から距離を置かれている。
セーラーなんて、もうやめたらいいのに。
私は断ったし、絶対着ないんだから……。
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