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7.青い再会
校門でしばらく待っていると、向こうから鮮やかな人影が駆け寄ってきた。
真凛だ。
真凛は目を見開いて私の服装を見ると、バツが悪そうに「ごめん、まさかセーラー着てるなんて……着替えてくる」と引き返そうとする。
「別にいいよ。服装なんて。それよりあなた、転校生だったんだね。一度声をかけられた気がする。」
「ほんとごめん、あの時もっと食い気味に知り合っとけば……」
「いや、突っぱねたのは私だし、そこまでしてもらう筋合いはないよ」
「うん、でも、ずっと心の隅に引っかかってたんだ。中学の頃、クラスにいたはずだった透明の女の子……。だから、高校で見かけた時、今度こそ仲良くなりたくて……」
「へぇ……偽善者だね。いい子ちゃんでいたかったわけ?」
しまった、照れ隠しについ斜に構えてしまった!
真凛は口を尖らせ言い返す。
「拗らせちゃんに言われたくありませ〜ん! 透明人間の後は忍にでもなったの? いっつも真っ黒で決めちゃってさ! たまには他に着てみたら? この後空いてるよね?」
真凛は爽やかな笑顔で私の手を力強く握り、走り出した。
紫と橙色が入り混じる夕焼け空が、穏やかに煌めいていた。
◇◇◇
翌朝ーー
「え、ウソ! やだ!」
降りてきた私を見るなり、母は反射的に叫んだ。
「お弁当ナポリタン入れちゃった……。えぇ……」
思いも寄らぬ事態に、本気で狼狽えている。
「まさか柚ちゃんが、そんな真っ白着るなんて……。おろしたてのおニューよね? どうしよう、ケチャップなんてついたら……」
「子供じゃないんだから!」
「そ、そうよね、ごめんなさい、お母さん慌てちゃって……」
改めて娘を上から下まで眺める母の目が涙で潤んでいく。
「だっていつぶり?柚ちゃんが黒以外着てるなんて……」
「大袈裟だよ、ちょっとした気分転換! じゃ、友達と待ち合わせてるから!」
気恥ずかしさに耐えかね、家を飛び出した。
真っさらなシャツワンピが風に揺れる。
青空の下、ビビッドなあなたと、私は再会する。
「久しぶり」
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