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【深夜1時50分】
真田は本日最後の客をガールズバーから家まで送り届けて帰路につく。
途中、そう言えば丹波が壊した車の修理はどうなっているか修理屋に寄って覗いてみる事にした。
この修理屋は栄行タクシーの修理工場として会社が契約している工場だ。
修理屋に着いた真田は両手をポケットに突っ込みスキップするような軽快な足取りで、ガレージの電気をつけてこんな時間になっても一生懸命に作業する修理屋のオヤジに近付き声を掛ける。
「お疲れ様でーす!」
調子良く声を掛けるもオヤジは「真田さん!ホントこういうのはこれっきりにして下さいよ!出来るわけないんですから!」
とベソをかきながら作業を続けていた。
「まーまー!そこはプロの腕で何とかして下さいな!」
「どこのプロがこれだけの修理を一晩で直せるって言うんですか」
「…………。」
流石に詰められ過ぎてばつが悪くなった真田は、「そうだ!」と思い出したように自分の制服の内ポケットを探る。
そしてサッと、1つの白い封筒を取り出した。
昼に社長から一條の歓迎会に使うようにと渡された金だ。
そして「ほいっ!」と、オヤジの肩にその封筒を乗せる。
オヤジは封筒の中身を確認した。
「5万円も入ってるじゃないですか?」
「修理代とは別のボーナスですよ、ボーナス」
真田は調子良くウインクする。
真田は帰り際に「ありがとうございましたーー!」
とオヤジに明るい声で言われ、
修理が終わり次第、社長が来る朝までには車をタクシー置き場の車庫に置いておくよう約束してガレージを後にする。
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