(三)

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 私は武西君を先に行かせてもう一度二人で会議室に入り、会議室の入口で対峙した。 「久しぶり。まさかこんなところで君と再会するとは思わなかったよ」  ニヤニヤしながら小川は言った。 「二度と会いたくなかったわ」 「再婚は?」 「まだよ」 「改めて俺が引き取ろうか。君が家庭に入るなら、の話だが」 「あんた何様のつもりよ。もうアンタとは二度とゴメンよ」  私はそう言うと会議室を出た。元夫も出てこようとするときにドアを閉めてやった。アイツはドアに体をぶつけて会議室に押し戻される格好になり、私は会議室のドアを最後まで閉めた。  そしてエレベーターホールまでやってきて武西君と合流した。 (続く)
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