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「さっきの小川さんって人、カッコ良かったですね! やり手って感じで」
エレベーターの中で武西君がそう言った。
私は黙っていた。離婚の原因は全てアイツにあった。だから二度と顔を合わせたくなかったのに。
アイツと会い、話すことで、私の頭の中で結婚時代の記憶が次々とフラッシュバックしていた。嫌に思ったシーンが次々に頭の中で浮かんでは消えてさらに繰り返し浮かんでは消えた。そのフラッシュバックを振り払おうと、私は必死になった。そのため竹西君の言葉は耳に入ってこなかった。
「あれ? 先輩どうしたんですか。顔色悪いですよ」
(続く)
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