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恐らく初恋だと思われる相手のことを、大樹は未だに忘れられないでいるのだろう。
「あの子、綺麗だったし、かわいかったもんね。ともかく、あんたの所にも行くかもね」
警告はしておかなければいけない。大樹だって所帯持ちの大人だ。甘言に惑わされて自分の人生を棒に振ることはしたくないはずだ。しかし、大樹が水上咲良のことを引きずっている可能性は十分ある。
その後、大樹と私はしばらく黙って、テーブルに残っている食べ物と酒を平らげた。アルコールも十分回り、お腹も満たされた。定期的に会っていることもあり、これ以上は特に話題もなく、私たちは居酒屋を出て、家路についた。
(続く)
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