花の惑星

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『僕は知らない君をとにかく引っ張り込んだ、レイの家の中へ。シェルターの扉をなんとか閉めたとき、強烈な光が差し込む寸前だった。実際、ギリギリだったと思う。迷ってる暇はなかったんだ』  そうだ、わけもわからず、私はあなたに引き込まれたんだ。 『思えば最初から、ニュースを聞いた瞬間から、僕はシェルターの存在を思い浮かべたのかもしれない。一度外へ出たのも……一人で避難するのは嫌だったからだ。  君のことは本当に全く知らなくて、外に出てすぐ見かけたのが君だった。君には酷いことかもしれないけど、僕は君と出会わせてくれた神様に感謝している』  アンナの記憶はもう完全に元に戻った。  シェルターに引きこまれたなんて当然わからず、変質者に連れ込まれたと恐怖にかられてジェフの腕から逃れようと何度ももがいた。外へ出ようと重い扉のハッチを回そうとして、何度も止められた。 『君は……何日も混乱していた。僕の話がとても聞き入れられないことは無理もなかった。ここに書いたことを何度も説明したけど、君は半狂乱に泣き喚いては、外へ出ようとする。その度に止めていたが、やがて考えた。君の心が受け入れられないのならば「希望」という嘘を与えたらどうかと』 「嘘?」
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