誰なんだよ!

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誰なんだよ!

(なんだあいつ、もしかして…俺を見てるのか?)  彼は左右に首を振り辺りを見回すも、その男の視線の先と思えるのは自分だけである。 (まじ、俺なのか? あんな奴知らないぞ)  その男のニヤケたまま固まって見える笑顔が、彼への不快さを倍増させる。しかも若干いい男風なのが癪に障る。 (なんだ?向かって来てるぞ、ホントに来るのか、おい!)  その男は、嬉しそうに彼の元に進んで来ている。 (やっぱ俺か?俺か?俺っぽいな)  近づくにつれ、その男の嬉しそうな表情が不気味にさえ見えて来る。 (逃げるか?いや、文句を言われる雰囲気ではなさそうだ。こんな街の中で追いかけっこになっても恥ずかし過ぎる。どうする…か)  と、迷っている内に、その男は彼の前までやって来てしまう。 (まあ、やっぱ俺だよな。何の用なんだよこいつ)  そう思っていると、その男が口を開いた。 「いや~、久ぶりでーす!」  話し出すと妙な笑顔で固まっていた表情が一気に崩れ、男はフレンドリーに迫って来る。その雰囲気に無碍に扱うことも出来ず、自然と対応を迫られてしまう破目に。 「ええっ、ああ…」 (だ、誰だよ?久しぶりって。お前なんか知らないって) 「元気にしてましたか?」 「ま、まあ」  一応、曖昧に応えて様子を窺うが、やっぱり記憶に無い。 (俺の知り合いってことなのか?人違いじゃないのか?) 「いや~こんなところで会えるなんて…」 (いや、絶対に人違いだろ。それにしても何だろうこいつ、自信満々に人違いするか普通。思い込みの激しい奴だなぁ、全く)
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