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交差点で信号が青になるのを待っている。周りは人で溢れ返っている。
ねえ、これを見た人。私、何か悪いことをしたかな。してないよ。悪くないよ。
私はこの文たちを投稿した。それだけ。それだけだよ。
あなただって見たでしょ?
ああ、信号が青になった。
もう行かなくちゃ。
他の人と一緒に私は歩き出す。誰かがこっちに向かって歩いてくる。
私は気づいた。なんとなく。なんとなく、そうだと思った。
それは私の目の前で目を開こうとした。
私は見たくなかった。もうあれを見たくなかった。見たくなかったの。
心を読む妖怪に恐怖するのは二つの理由がある。
一つ。人がいればそれもいるから。
二つ。読まれる中身じゃなくて、中身を閉ざしてる扉が開かれるのを恐れてる。扉が壊されるのを、怖がっている。
中に何を入れたのかなんて覚えてないよ。それは努めて忘れようとした結果でもあるんだろうけど。
でも、扉が開かれたら思い出してしまう。せっかく癒えた傷も血を吹き返す。それらが一気に溢れた時、私たちは耐えられない。
もう、見たくなかったの。
私は、目を閉じた。
車のブレーキ音が近づいてきた。
そしてそれは私の上を通り過ぎて行った。
目を閉じなきゃ。壁を作らなきゃ。
心の中を見たくない。見られたくない。
それでもその妖怪は油断させるように化けてくる。
まぶたの上は私たちをバカにするように笑っていた。
ねえ、これを見たあなた。
あなた、いい加減化けるのやめてよ。
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