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一人の青年が真新しいケースに入った人形を見て涙を流した。その人形は、自分が最後に会話したあの人であった。
もし自分が手を引いて一緒にパーティーから抜け出せていたら、目の前の人はこんなことにならずにいられたのだろうか。
ああ、そういえば。この人の悲鳴が、聴こえたような気がする。
何故その時に戻らなかったのだろうか。何故一緒に外へ出ようとしなかったのだろうか。
お人形にされてしまった人とはもう声を交わすことができない。
これにてパートナー探しの宴は終わったのだ。
夫婦という関係が二人だけのものならば、三人目は必要ない。もしそこに三人目である子どもが介入すれば、対等な関係は困難になるだろう。それは夫婦ではなく家族という関係なのだ。
ケースは二度と開かれることはない。
人形が求めた関係はパートナーとの一対一の関係。夫婦という形なのだ。
今度こそ部屋から出る唯一の扉が開かれた。
ホストである人形はケースの中で笑っている。
パートナーとなった青年は、
幸せを手にできたのだろうか。
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