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10年後
現在25歳会社員、独身のゲイだ。
あいつを見送った後、俺はまた学校に行きだし
中学を卒業した後、高校に入学
その後無事卒業し、現在は中小企業に就職
今は営業部に所属になり、毎日馬車馬の様に働いている。
「...疲れた」
現在深夜23時
就職が決まり一安心、だと思っていたが
毎日サービス残業
終電で帰れる日なんて稀で、ほぼ毎日片道1時間を歩いて帰っている
「...あいつ、元気にしてっかな」
もう諦めたつもりのあいつの事を、時たま思い出してしまう。
何回も諦めないとダメだ、もうあいつは幸せな家庭を築いているかもしれない
そもそもあいつは俺と違って、恋愛対象は女性だ。
何回言い聞かせても、やはり忘れることが出来なかった
心の中で、また会えないかなとも思ったりしていた。
「はぁ...ダメだダメだ、もうやめよう...たまには飲んで帰るか」
やめだやめ、明日は休みだ
今日は久々に飲んで帰ろう...そのつもりだった
なのになんで、なんで今、このタイミングで...!!
「高倉...?」
「なっ、んで...浅野..ここに居んだよ...」
なんで、なんで今なんだよ神様...なんの虐めだよ...
もう忘れよう、次に進もうとしている人間の前に
初恋の人を...
「っ...!」
走った、全力で
あいつから離れるために、忘れるために
もうあいつの事好きにならないように全力で走った
もうあんな想いをしたくない
苦しくて、苦しくて苦しくて吐き出せない言葉を何度も吐こうとするあの感覚を
もう経験したくない...!
「高倉...!」
「っ...!はな、せ...!」
後を追ってきた浅野が、俺の腕を引っ張り
俺を抱きしめた
「...久しぶり」
「やだっ...離せよ...!」
必死に抵抗した。
けど、浅野の温もりを、15の時より大きくなった体格が、手が
とても心地よかった
「高倉」
「なんっ、で...今なんだよ...」
「高倉...」
「もう..っ...お前の事忘れようとしたっ..のに...!」
「高倉!!聞いてくれ!!」
そう言うと、浅野は俺の肩を強く掴み声を荒げた
浅野の荒げた声を初めて聞き、俺は少し驚きながらも
顔を少し見た
なんで、なんでお前まで泣いてるんだよ
「高倉...あの薔薇、どう受け止めたら良い」
「...」
「俺ももう立派な大人だ、花言葉ぐらい調べたりすんだよ」
あぁ...バレたのか、遂に
「...俺は、高倉の事好きだ、あの時からずっと」
...は?
「お前と話してるとき素の自分を出せてたんだ、少し笑った顔が可愛くて、もっとお前の事を笑わせたい、もっとお前の事が知りたいって...」
なんだ、これ
「だから俺、必死に勉強して、良い会社に入ってこっちに異動してもらったんだよ...お前に会うために、けど時間がかかり過ぎて10年も経ったけどさ」
だったら、だったらなんであの時...
「だったら...なんであの時!何も言ってくれなかったんだよ...!」
「それは...お前との関係を壊したくなかったんだよ...もしあの時お前に告白して、今まで見たいに話せなくなるのが怖かったんだ...」
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