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私は、王太子閣下がニコニコと私を見つめながら私のお世話をしてくれるのに戸惑っていた。ただ、偶然にも王太子閣下のお気持ちを私は聞いてしまっていたので、私は好意に素直に応えようと決めていた。
「美味しい!」
「でしょう?このサンドイッチは私が作りました」
「えっ!王太子閣下自らですか?」
「そうです。朝早かったので、頑張りましたよ」
「それは…………私などがいただいてよろしかったのでしょうか」
「あなたのために私は頑張って作ったのですから、どうぞ食べてください」
「まあ………………」
私は胸の奥がキュンとしてしまい、思わず喉を通らなくなった。胸がいっぱいになると食べ物を食べれない。
王太子閣下は私の様子にきょとんとした様子で、お茶が足りないのかなと言いながらお茶のポットを探した。
「どうされましたか」
「いえ、あまりの嬉しいお言葉に胸がいっぱいになりまして」
「そんな、気になさらずどうぞ食べてください」
「ありがとうございます。いただきます」
「はい、こちらに果物もありますよ」
「まあ、美味しそうですね。素敵」
王太子閣下はお茶を飲むばかりで、私の様子を目を細めて実に嬉しそうに眺めていた。
日差しは柔らかく、木の梢が風に揺らぎ、私は目の前の王太子閣下のお姿がとてつもなく凛々しいお姿に見えてきて、ドキドキしてしまった。
――これは恋だろうか。
――恋だ。
私は自分で自覚した瞬間に体が思わず震えた。私は王太子閣下に恋をしていると自分で悟った。
「私ばかり食べてしまってごめんなさい。王太子閣下も食べてください」
「では、私も食べますよ。うん!美味しい!我ながらうまくできたもんだ」
「ですよね。本当に美味しいです」
「あなたが望むなら、いくらでもまた私は作りますよ」
「えっ」
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