結婚の申し込み

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 今日、王太子閣下と私は乗馬に出かけていた。乗馬は私の趣味の1つだ。元夫のイーサンは付き合ってくれなかったけれど、王太子閣下は乗馬が好きなようだ。  離縁してから2ヶ月経って、王太子閣下が私の実家にお忍びで訪ねてくるようになった。最初は実家の広い庭で散策を楽しむぐらいだったのだが、今日は初めて乗馬のお誘いを受けたのだ。 「今日、私の願いを聞いてくれてありがとう」 「いえ、閣下。私もお誘いいただきまして嬉しかったです」 「そう言ってもらえると、私も嬉しい」 「お花が綺麗で、やっぱり外の空気は清々しいですね」  王の領地は広大だが、乗馬に適した草原も含まれていた。その中で景色が素晴らしいと評判の草原に、朝早くから私たちは乗馬に出かけたのだ。  距離をあけて、従者の方たちも馬で一緒についてきてくれていた。 「ここで少し休みましょう」 「ええ」  王太子閣下が合図をすると、すぐに木陰に敷物が敷かれ、クッションやテーブルなどが設置された。 「さあ、行きましょう」 「はい」  私は王太子閣下に誘われるまま、即席の休憩所まで歩いた。乗っていた馬は従者の方が世話をしてくれている。  従者の方たちも離れたところで交代で休んでいるようだ。 「お茶を飲みますか」 「はい。あの、私がお世話しますわ」 「いえ、これは私があなたを誘ったのです。私があなたに給仕しますよ」 「そんな……滅相もございません」 「いえいえ。私が好きでやりたいので、お気になさらず」  王太子閣下は私のためにお茶と、ピクニック用のバスケットからお菓子やサンドイッチを出してテーブルに並べてくれた。 「さあ、いただきましょう。朝早かったので、お腹が空いたでしょ?」 「はい」 「どうぞ」
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