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驚いて小さな声を上げた私を、王太子閣下は眩しそうに見つめた。
「私はあなたのためならなんでもできます。毎朝、あなたの望む朝食を準備したっていい。僕と結婚してくれませんか」
それはあまりに唐突なプロポーズだった。
「えんっ!」
私は驚きのあまりに食べていたものが喉に詰まって胸を叩いた。お茶に手を伸ばすと、手が震えてティーカップをひっくり返してしまった。
真っ赤になって震える私に、王太子閣下は自分のティーカップを私の口元に持ってきて飲ませてくれた。
優しく王太子は背中を叩いてくれた。
私はお茶と一緒に食べ物を飲み込み、ふうっと息をついた。苦しかったので涙目になっていた。
「ありがとうございます」
「そそっかしいんですね。キャロライン。そういうところも私はあなたを可愛いと思います。あなたのことが私は好きなんです」
王太子閣下は私の背中にまだ手を回したままで、私を優しく見つめていた。かつてないほど王太子閣下との距離が縮まっている。今の私なら分かる。王太子閣下は私のことを本当に好きなようだ。私を見つめる瞳は少し濡れていて、キラキラしていた。本物の愛情を感じる。
「ありがとうございます。お気持ちがとてもありがたいです。あの、その……私も王太子閣下のおそばにいたいと思います」
「ええっ!本当ですか?それは、私と結婚してくださると受け止めて良いですか?」
「はい。離縁したこんな私でもよろしいのであれば」
「もちろん!キャロライン、あなたがいいのです。私はあなたでなければ嫌です」
「まあ………………」
王太子閣下はポケットから小さな箱を取り出して開けた。そして、輝く大きなダイヤモンドが付いた指輪をそっと取り出して、ひざまづいた。
「キャロライン、私と結婚してくださいますか?」
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