仕立て屋での逢瀬

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「国民の大勢が祝福しようとパレードに押し寄せてきます。あなたに夢想する男性がいるのは私としてはイヤだと言いますか…………あなたに恋焦がれていた時間が長すぎて、私はおかしくなったのかもしれません」  真っ赤になって照れたように少し横を見つめ、拗ねたようにも見える表情で王太子閣下は私に告白した。 「そんな………………」 「もちろん、あなたの肌に触れるのは私が一番だと知っています」  この言葉を聞いて私まで赤面した。顔から火が出そうなぐらいに暑くなり、体もほてってきた。  ――一瞬だけ、王子の手が直に私に触れる刺激的過ぎる絵が、ほんの一瞬だけど頭に浮かんでしまった。私の妄想が王子にバレたら大変だわっ。  ――いやっ…………ん  ――私ったら首まで真っ赤になってしまっているわ。妄想が過ぎるわよ、キャロラインっ 「その…………あなたの肌を見るのも私だけにしたいのです。私はおかしくなったのでしょうか」 「なんと申し上げたら良いでしょうか、私の体は王太子閣下だけのものでございますので、王太子閣下がお嫌でしたらそのお気持ちに従いますわ」 「ああっ……私のわがままを許してください」  私の言葉を聞いた王太子閣下はたまらないといった様子で、私の首筋に口付けをした。  きゃっ…あぁっん
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