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「好きなだけ泣くといい。君はたぶん、我慢をしすぎたんだ」
大きな掌がぽんぽんと背中に触れる。
小さな子供をあやすような仕草は、ついにシャナの孤独を割ってしまった。
「わたし……」
「うん」
「寂しかった」
「そう」
「みんなにはママがいる。だけど私にはいなかった」
「うん」
「夜なんか大嫌い!」
「……うん」
「パパはいた、時々しか、会えなかった……けど、でも、……死んじゃうなんて」
言葉が震えた。
「いてくれるだけで良かった、いると思えるだけで、嬉しかったのに、」
わあああ……!
雨の中に慟哭する野良犬のようなシャナを、隆弥の体がぴったりと包み込んだ。
その身に雨を引き受けるように。
長過ぎた夜をほどくように。
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