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隆弥は国語の教師をしていて、歳はシャナの目算よりもひとつ年上の27歳だった。
『できれば家庭科の教員免許も取りたかった』という隆弥に、なら取れば良いのに。とシャナは簡単に言った。
が、ひとつの大学では、基本ひとつの教科しか免許を取れない。家庭科の教師になるには家政学校等に行き直す必要があり、現実的には難しい話だそうだ。
そんな隆弥から生み出される料理たちは、どれも完璧ではなく、複雑な仕掛けもなかった。けれど昔シャナが一度だけ友達の家に招かれて食べた、その家のお母さんの味に似ていた。
友達に嫉妬して、憧れ続けた料理たちが目の前に並ぶ日々。そしてそれらを生み出す手を握って眠れる夜の温かさ。その2つが、頑ななシャナの心をじんわりと溶かしていった。
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