渇いた夜に

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中学生になったシャナはようやく施設から解放され、家で眠れるようになった。 父は勤務時間が不規則で、夜勤が多い。それでも父がいるわずかな間だけは眠ることができた。 義務教育のあと、シャナは高校進学を望まなかった。 かと言って就職したわけでもない。 何のやる気も見せずに家に居続けるシャナを、父は許した。 否、許したというより、疲労がまさって考えることを放棄いてしたというべきだろう。 しかしそれから一年ほど経ったある日、父は業務上の事故で唐突にこの世を去った。 シャナは2LDKのアパートにひとり取り残された。 そしてまた眠れなくなった。
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