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知らない男のアパートで、知らない匂いのソープをまとう。
シャワーを浴びると、水滴まみれになった鏡に細い裸体が映り込んだ。
濡れた茶髪はセミロング。
乾けばライトセピアに光る。
この色が一番、男たちに受けた。
シャナちゃんは綺麗だね。
大きな目だね、可愛いよ。
色白で、すべすべで、天使みたいだ。
あらゆる賛辞が送られた体。
それもこれも、欲を満たしたいがゆえのリップサービスだったろうけれど。
それでも褒められるのは嬉しかった。
自分は許されている。この世にいても良い存在なのだと証明されているようで。
残念なのは胸だけだ。
いつになったらAカップを超えられるのか。それがいつも恨めしい。
お風呂を上がると、大きすぎるスウェットに着替え、髪を乾かしてリビングに出た。なんとなく気まずく、忍者のような足取りになる。
隆弥はソファでテレビを観ながら、ほのかに湯気の立つマグカップを持っていた。中身は紅茶か、コーヒーかもしれなかった。
「おかえり。ぶかぶかだねぇ、あはは」
「……」
あらゆる賛辞を貰った体。しかも風呂上がりの色っぽさ。のはずなのに、またしても子供扱いだ。シャナは結局腹を立てた。
「あの……」
「喉乾いたでしょ。さっきのスポーツドリンク冷えてるよ」
冷蔵庫を指差しつつ、自身は熱そうなマグカップに口を付ける。
「隆弥さんって、不能かゲイなんですか?」
「フっ、……ッ!? ゲッッホ!! ぐあああ」
「えっあっ」
盛大に中身を吹いた隆弥が喉を押さえて咳き込んだ。火傷をしたかもしれない。
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