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渇いた夜に
ネオン溢れる夜の繁華街。
ビルの壁を背にしゃがみ込んだシャナは、ペットボトルの炭酸を開けた。
喉が痛むばかりの刺激物を無理に飲みくだす。
プァー、パパァーッ……
耳障りな車の警笛。
排気ガスのほかに何が混じっているのか分からない嫌な煙が、シャナの頬をねっとりと撫ぜた。
こみ上げた吐き気をごまかすように空を見る。
星月夜。こんな下らない都会の夜に。
何の感慨も湧かなかった。
シャナにとっての夜は、どこを切り取っても凡庸で、退屈で、忌々しいだけのものだったから。
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