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部屋に飛び込んできたのは、私と同じ年頃の眼鏡をかけた女性だった。心臓が止まるかと思った。彼女は、卒業アルバムに載っていた「もう一人の私」だったのだ。
静まり返っていた部屋が、ざわつき出す。私たちを見比べて、白いセーターの彼女が目を白黒させている。
「もう一人の私」も、私を見つけてぎょっとした。
「あんた、誰?」
ぶっきらぼうな物言いに、むっとする。私はお酒の力を借りて、「どしん!」と一歩踏み出した。
「あなたこそ、誰なんですか。私は七姫西中学校卒業の、神田栞里です!!」
「に、西中?!」
部屋中のみんなが、声を揃えて驚いた。
「もう一人の私」が、負けじと声を張る。
「私は七姫南中学校卒業の、神田栞里です!!」
私はきょとんとした。それから、耳がかあっと熱くなった。
バツが悪くなった私を見て、彼女がくすくすと笑う。
「名前がたまたま同じだったから、みんなに勘違いされちゃったんですね。西中の同窓会は、となりの部屋ですよ」
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