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そんでつまり······理由として言い換えるならば、何でも務め一番であるため、好きなこともできない(好きなものも食べられない)生活に嫌気が差して、だろうか。
『──ということは、我が嫌になって捨てたんじゃないんですね······!? 』クゥ~ン
あ、忘れてた。今日の事の発端はコイツだったな、と思い出した暁生は狛犬を見る。
目を潤ませる使い魔を、少年はハッと見つめて、
「······コマ······。そうだよ······! 僕がコマを嫌いになる訳ないじゃないか! 僕の所為で、寂しい想いをさせてごめんね······!」
『ご主人~ッ!』キャゥゥ~ン
「「「 ······ 」」」
ギュウッと再び熱いハグが繰り広げられる。
「大丈夫、もうこんなことはしないよ。今日からまた一緒にがんばろう、コマ。最高の相棒! ──あ、という訳で、お世話になりました。コマも手帖も大切にお引き取りしますね······!」
『フッ、今度来る時は撫でさせてやっても良いぞ!』キャフン
「いやいらん」
「有難うございました! それでは!」『キャウ~ン( !? )』
「 ······ 」「 ······ 」「 ······ 」
すぱーん! と元気良く閉められた店の戸。
······
······奇妙な程の静けさが降りていた。
春依が、テーブルを振り返った。
「仕分けの続きやる?」
「おう」「そうだね」
······皆様、物をお捨てになる時は、くれぐれも慎重に。
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