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腕を組んだ暁生が、
「······この感じだと、春依の方か」
「ん、その方がいいだろうな」
頷いた春依は、そのまま。
とんとん、と、〝灯り〟に触れた。
寝た子を起こすみたいに。
すると、温かな蝋燭の火が終え、また灯されるように──辺りが夜の闇に包まれた。
「······えっ······うわ······!」
比喩ではない、ともいえるだろう。
店舗の中に、夜が降りていた。
プロジェクターやプラネタリウムのような、そこに映し、あらわしたというレベルではない。外はまだ明るいというのに、それが見透かせない暗さだ。
星らしき無数の光が瞬いている。
自分達や当の灯りは不思議なくらい見えて──それ以外は無限の夜。
······急に宇宙に放り出されたら、こんな感じだろうか。
驚いているのは統理だけだが、とりあえず、非常事態でないのは分かった。
目を戻すと、春依が〝灯り〟の上に手を置いていて、そっとその瞼が閉じられる。
フワリと、白い光が〝灯り〟を包んだ。
ああ──春依の能力の『浄化』かと、もう知っている統理は思った。
この夜闇で、光はより強く感じる。
目を細めて見つめているうちに、ゆっくりと、光が小さくなっていき、輝きも弱まっていって──
そのまま夜に融けるように、儚く消えてしまった。
一瞬の間。春依のまとっていた空気が和らいで、
「よし」
ふっ、と、夜が取り払われた。
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