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「すみません。心配させてしまいましたよね。あの後、わたしが塞ぎ込んでいたのを心配した父親が、天体望遠鏡を買ってくれたんです。これなら家でも星が見えるだろうって」
「へえ、優しいお父さんですね。知ってます? 空を眺めているうちに、視力が回復した例があるらしいですよ」
「それ、わたしです。言ってもあまり信じてもらえないんですけど、今では裸眼で1.5もあるんですよ」
「子供の頃から見続けてきた成果ですね。人間の適応力って凄いな」
いつの間にか話が弾んでしまった。こんな話は誰にもしたことがないというのに。我に返ると同時に恥ずかしさが込み上げてくる。今の姿を知り合いに見られたら、正気ではいられなくなるかも知れない。
お互いに愛称しか知らない不思議な関係。だからこそ、話せることもある。
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