宙を見上げて

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 化粧とは人の内面を隠すもの。シミや毛穴を隠す以上に、人は心に仮面を被らずには生きていけない生き物だ。周囲の人間からすれば、化粧をしている自分こそがわたしなのだ。誰もその内側に潜んでいる本性には気づいていない。  この春から最年少で課長として抜擢され、新しくプロジェクトも任された。責任ある仕事自体にはやりがいを感じていたし、充実感も得られていた。  わたしを慕う部下たちや、信頼してくれる上司はわたしのことを完璧超人などと呼んで崇め奉る。  見た目に関しては、自分でも美人の部類に入ると思うし、それなりにモテてはいた。女子校時代ですら、バレンタインのチョコレートを大量に貰っていたぐらいだ。  だが、周囲の人間は知らない。実際のわたしは、いわゆるオタク女子。それも筋金入りの天文オタクなのだ。(そら)ガールなんて言い方もあるようだが、わたしのはそんな生易しいレベルではない。
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