プロローグ

1/1
前へ
/2ページ
次へ

プロローグ

ある朝。 僕が教室の自分の席に座って自習をしていたとき。 「カッコつけんじゃねーよ。スマホゲームだろ。」 そう言って勢いよく扉を開けたのは、白髪の美少女だった。 0.1秒ーークラスの男子、美少女認識。 0.2秒ーークラスの男子、扉に方向転換。 0.3秒ーー僕を除く男子全員が走り始める。(一部クラウチングスタート。) そして0.5秒後には、白髪美少女はクラスにいた男子のほとんどに囲まれていた。 「こ、こんにちは!」「初めまして!」「転校生?」「グヒヒ!」 1人変態がいるんだが…? いやそれより、みんな気づいてないのか? 多分この子はーー 「はあ?私は4月からずぅっと同じクラスに在籍している同級生ですけど?  あんたの目ちゃんと機能してる?その目に映ってるのはゲームか性欲だけなのかな?」 やっぱりそうだ。この毒舌はーー(言い過ぎでは?) 「…おはよう、良魅。」 僕はそう返した。 0.01秒後ーークラスの男子が凍りついた。 まあそりゃそうだよなぁ。いつも遠巻きにしている良魅が、目の前にいる美少女さんと同一人物だったら…何というか、うん…。 にしても、僕も最初はわからなかった。 髪が違うだけで、大分印象というものは変わるらしい。 「その髪、どうしたの?」 凍りついたまま春が訪れない男子達を尻目に、僕は訊ねる。 すると良魅は、ああ、と言った調子で、 「これねーー染め忘れちゃって。プリンヘアもあんまりだから、今日は仕方なく地毛で登校してきたの。ほんとうっかりしちゃった…」 ………………………………うん? うん。 え? 「良魅って地毛白髪なの⁉︎」 「何よ。まさか紫髪が地毛だと思ってたわけじゃないでしょ。」 いやまあね。 さすがにアニメや漫画の登場キャラじゃあるまいし、地毛の色とは思ってなかったけども。 黒か茶髪とかだと思ってたけども。 こうなると、良魅の秘密って、あとどれくらいあるんだろうか…。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加