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プロローグ
ある朝。
僕が教室の自分の席に座って自習をしていたとき。
「カッコつけんじゃねーよ。スマホゲームだろ。」
そう言って勢いよく扉を開けたのは、白髪の美少女だった。
0.1秒ーークラスの男子、美少女認識。
0.2秒ーークラスの男子、扉に方向転換。
0.3秒ーー僕を除く男子全員が走り始める。(一部クラウチングスタート。)
そして0.5秒後には、白髪美少女はクラスにいた男子のほとんどに囲まれていた。
「こ、こんにちは!」「初めまして!」「転校生?」「グヒヒ!」
1人変態がいるんだが…?
いやそれより、みんな気づいてないのか?
多分この子はーー
「はあ?私は4月からずぅっと同じクラスに在籍している同級生ですけど?
あんたの目ちゃんと機能してる?その目に映ってるのはゲームか性欲だけなのかな?」
やっぱりそうだ。この毒舌はーー(言い過ぎでは?)
「…おはよう、良魅。」
僕はそう返した。
0.01秒後ーークラスの男子が凍りついた。
まあそりゃそうだよなぁ。いつも遠巻きにしているあの良魅が、目の前にいる美少女さんと同一人物だったら…何というか、うん…。
にしても、僕も最初はわからなかった。
髪が違うだけで、大分印象というものは変わるらしい。
「その髪、どうしたの?」
凍りついたまま春が訪れない男子達を尻目に、僕は訊ねる。
すると良魅は、ああ、と言った調子で、
「これねーー染め忘れちゃって。プリンヘアもあんまりだから、今日は仕方なく地毛で登校してきたの。ほんとうっかりしちゃった…」
………………………………うん?
うん。
え?
「良魅って地毛白髪なの⁉︎」
「何よ。まさか紫髪が地毛だと思ってたわけじゃないでしょ。」
いやまあね。
さすがにアニメや漫画の登場キャラじゃあるまいし、地毛の色とは思ってなかったけども。
黒か茶髪とかだと思ってたけども。
こうなると、良魅の秘密って、あとどれくらいあるんだろうか…。
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