僕の家庭教師

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 あっという間に9月になった。夏休みは長いようで短い。そう思うのはどうしてだろう。知也は夏休みのほとんどを奈美恵との勉強でいっぱいだった。最初はあまりできなかったけど、奈美恵との日々で知也は驚くほど成長し、奈美恵も驚くほどだ。だが、奈美恵が手助けしているのを、誰も知らない。みんな、奈美恵という幽霊の存在を知らないのだ。知也が頑張っているからだと思っているようだ。  知也は学校へ行く準備を進めていた。今日は実力テストだ。頑張りを見せてやる。そして、みんなを驚かせてやるんだ。夏休みに、奈美恵とやってきた勉強は間違っていなかったと証明したい。 「さて、行かないと」 「知也くん、今日は実力テストだね」  知也は振り向いた。そこには奈美恵がいる。いつもそこにいるって、まるで家族のようで、恋人のようだ。いつも家にいると、そう思ってしまう。どうしてだろう。家族でも、恋人でもないのに。 「うん。頑張らないと」 「夏休みの成果、見せてやれ」  奈美恵は笑みを浮かべて、応援している。知也は嬉しくなった。そして、奈美恵のためにも頑張らないと。 「わかった!」  知也は荷物を持って、部屋を出ていった。奈美恵はその様子を幸せそうに見ている。 「行ってきまーす」 「行ってらっしゃい」  知也は玄関を出て、中学校に向かった。奈美恵の部屋はカーテンがかかっていて、何も見えない。だけど、ここから応援しよう。私にはそれしかできない。 「大丈夫かしら? 見つからないように見に行ってこようかしら?」  奈美恵は思った。だけど、ここにいよう。みんなに見つかったら、大変だ。  知也は中学校にやって来た。中学校には、知也と同じジャージを着た生徒がたくさんいる。1学期前と同じ風景だ。だけど、3年生の中には制服を着ている人もいる。それを見ると、もう部活を引退したんだと感じる。  知也は教室に入った。今日は実力テストだ。教室の雰囲気は物々しい。みんな、実力テストで緊張しているんだろうか? 勉強に集中しているんだろうか? 知也は席に座ると、すぐに勉強を始めた。みんなとは違うんだ。幽霊とはいえ、夏休み中、家庭教師がついていたんだ。その実力を見せてやる!  しばらくすると、田川先生がやって来た。田川先生は神を持っている。実力テストの問題用紙と解答用紙だ。田川先生の顔を見ると、生徒たちは背筋が立った。いよいよ実力テストが始まるんだ。頑張らないと。 「はじめ!」  田川先生の声とともに、実力テストが始まった。生徒は解答用紙に答えを書き始める。知也も書き始めた。みんな真剣な表情だ。知也も真剣な表情だ。 「知也くん・・・」  その頃、奈美恵は彼らに見えないように、教室の前の廊下で見ていた。結局、奈美恵は中学校に来てしまった。だけど、誰にも見つかっていない。その間、透明になって、全く見えないようにしている。見られたら、びっくりするだろうから。 「頑張ってるみたいで、嬉しいわ」  奈美恵は鼻高々だ。知也は期待通り頑張っている。知也を教えてよかった。教えて強くなれる事に教師としてのやりがいがある。だけど、それを生きているうちに、プロの教員として体験したかったな。  実力テストの時間は過ぎていく。知也は夏休み前、できないところがあまりにも多すぎて、止まってしまう事が多かった。だが、進み具合が驚くほどいい。田川先生もその様子に驚いていた。どうして知也はこんなに変わったんだろう。夏休みでこれだけ変わるとは。どうしたんだろう。 「終わり!」  その声とともに、5教科の実力テストは終わった。今日の学校はこれで終わりだ。夕活を終えたら、帰宅だ。 「よかった。頑張ってるみたい」  廊下から、奈美恵はその様子を見ている。今日は一足先に帰ろう。そして、今日の事を語り合おう。  その頃、実力テストを終えた知也は机に座ってホッとしていた。やっと実力テストが終わった。実力テストのできは上々だ。田川先生も驚くだろうな。 「知也、今日、テストどうだった?」  後ろから同級生の桜(さくら)が声をかけた。その声を聴いて、知也は振り向いた。 「まぁまぁかな?」  知也は苦笑いをしている。共進学園に行くには、まだまだの成績だと思っている。もっと頑張らなければならないと思っている。 「希望の高校に入るためにも、頑張らないとな」 「うん」  そこに、また別の同級生の女、香奈江(かなえ)がやって来た。香奈枝は驚いていた。あれだけできなかった知也はこれだけスラスラと問題を解いている。夏休みに何があったんだろう。教えてほしいな。 「知也くん、スラスラ解いてたね」 「本当。どうしたんだろう」  桜もその実力に驚いていた。夏休みの間に何があったんだろう。教えてほしいな。 「受験に向かって、本気になって来たみたいだね」  そこに、田川先生がやって来た。知也は少し緊張している。何を言われるかわからない。 「突然そうならなくなった?」 「うーん、そうだね。どうしたんだろう」  3人とも、何かがおかしいと思っていた。夏休み前と全然違う。まるで別人だ。高校受験に向かって本気モードになって来たんだろうか? それとも、誰かに教えてもらったから成績が上がったんだろうか? 「共進学園に行けと言われたからだろう」 「だけど、最初は積極的じゃなくなったんだよ」 「そういえば、そうだね」  夕活も終わった。知也はすぐに教室を出て、家に向かった。家に帰ったら、また勉強だ。そして、今日の実力テストの頑張りを、奈美恵に報告しないと。  知也は帰り道の間、不安でいっぱいだ。みんな、夏休みでもっと頑張っているんじゃないかな? このままでは、共進学園に行けないかもしれない。とても不安だ。このままでは丸刈りになるかもしれない。 「ただいまー」  知也は家に帰ってきた。家には母がいる。いつもの光景だ。今日はもう疲れた。すぐに2階に向かおう。奈美恵も待っている事だし。 「おかえりー」  母の声だ。だが、それよりも先に、奈美恵に報告しなければ。 「ただいまー」  知也は部屋に戻ってきた。部屋には奈美恵がいる。奈美恵は首を長くして待っていたようだ。 「どうだった?」 「いつも以上にうまくいった」  それを聞いて、奈美恵はほっとした。私の頑張りが報われたようで、嬉しいな。 「私の頑張り、役になったでしょ?」 「うん」  知也は嬉しそうだ。夏休み、2人で頑張った日々は決して間違いじゃなかった。 「それはよかった。この調子で頑張ろうね」 「うん」  だが、受験までが勝負だ。これからも頑張らないと。  夕食も、今日の実力テストの事で持ちっきりだ。それほど、両親は気にしていた。この家の未来を決めるものだから。知也と両親は、カレーを食べながら、今日の実力テストの話をしていた。 「今日は実力テストだったんだって?」 「うん」  知也は下を向いた。本当に頑張れたんだろうか? とても不安だ。帰ってくるまで全くわからない。 「どうだった?」 「まぁまぁ頑張れたかな?」  知也は苦笑いした。自分的には頑張れたかな? だけど、みんなの成績も気になる。みんなも頑張ってるだろうから、全くわからない。 「よかったね。頑張ってちょうだいね」 「うん。絶対に受かってみせるよ!」 「期待してるわよ」  麻里子は知也の肩を叩いた。知也は気合が入った。両親のためにも、この受験勉強を頑張らないと。
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