見知らぬ同級生

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「──よお、久しぶりだな? 元気にしてたか?」  少し遅れて到着したため、店内を埋め尽くす同世代の紳士淑女達はすでにけっこうな盛り上がりを見せている……そんな店の中へ足を踏み入れるなり、俺は見知らぬ男に声をかけられた。  いや、言葉の内容からしてクラスメイトの一人に違いないのだが、まったくその顔に見憶えがないのだ。  成長して大人顔になったとしても、何かしら面影というものがあると思うのだが……そうしたものがまったくない。 「あ、あのう……誰だっけ?」  やむなく俺は苦笑いを浮かべると、たいへん失礼ではあるが正直にそう彼に尋ねた。 「やだな。一番の親友を忘れたのかよ? ったく、都会に染まりやがってからに……外田だよ、外田俊秀」 「外田……?」  彼はそう答えたが、その名前にもやはり憶えがない。  そんなやつ、クラスにいただろうか? しかも親友って言ってるし……親友の顔や名前を忘れるなんてことあるだろうか?  もしかして、向こうが俺を誰かと勘違いしているのか? 「……おお、佐藤じゃん! いや、ほんと久しぶりだな!」 「あ、佐藤くん、お久〜」 「ああ! 佐藤くんだ!」  見知らぬ親友に俺が困惑していると、グラスを持って歓談していた男一人と女二人もこちらへと近づいてきて声をかける。  だが、やはりこの三人にも見憶えがない……いや、俺の名前は確かに佐藤だ。外田なるクラスメイトもそれを聞いて驚いてはいないし、皆、誰かと間違えてるわけではないようである。  まあ、佐藤はよくある名字なので佐藤違い(・・・・)ということもなきにしもあらずだが、クラスに佐藤は俺一人だったように記憶している。それによくある名字は他にもあるし、ピンポイントで佐藤違いをする確率はそれほど高いものでもないだろう。
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